DEMOREEL

カメラマンがお話しする映像・写真・カメラのこと。訪れた場所のこと。生活のこと。

SONY FX6は本当に低感度側よりも高感度で撮影した方がノイズが少ないのか!?

Flexible ISOの追加に伴い

FX6の本体ソフトウェアのアップデートにより、「Cine EI Quick」「Flexible ISO」が追加されて半年以上が過ぎた2024年3月末。

ここ数ヶ月、現場でこんな声がチラホラと聴かれるようになってきました。

「Flexible ISOにして、感度を1200や1600くらいで撮影した方がノイズが少ない」

「ISO12800はやっぱり高すぎる」

いろいろお話を聞いていると、確かにそんな気がする……。

きっとそうだ!12800の方がノイズレスなんて異常すぎる!

よし。暴いてやろうじゃないの、そのノイズの多さをよぉ!!

テストの環境

本体側の設定はFlexible ISOに設定。

ボディキャップをつけ光が全く入らない真っ暗な状態で、ISO感度のみを変更し、本体内に収録。

その後Davinci Resolveに読み込み、トーンカーブでノイズが見える状態になるまで調整(どの感度の素材も全て同じ設定で調整)。

今回比較する素材は以下の通りです。

  • 低感度ベース ISO800
  • 低感度ベース ISO1600
  • 低感度ベース ISO3200
  • 高感度ベース ISO12800

では、比較した画像をご覧ください。

比較(収録画像)

低感度ベース ISO800

低感度ベース ISO1600

低感度ベース ISO3200

高感度ベース ISO12800

比較(波形)

低感度ベース ISO800

低感度ベース ISO1600

低感度ベース ISO3200

高感度ベース ISO12800

比較した感想

……疑ってごめんなさい。

とっても凄い技術で、いつも私たちの撮影をサポートしてくださり、誠にありがとうございます。SONY様。

現場で使っていて思うこと

実際、ノイズは比較した結果の通り高感度ベースで撮影する際のノイズは本当に少ないなと感じていますが、以下の場面では低感度ベースのISO1600で撮影した時の方がノイズが少ないように見えるなと感じています。

  • 陰影がしっかりした影の部分(暗い場所や黒色の壁や服など)

結構主観的なお話であり、シチュエーションも少し特殊なため、この説明が少し難しいのですが、例えばコンサートホールで舞台の上に立つ一人の人物にのみスポットライトが当たっている状態があったとしましょう。

例えばそう、こんな感じで。

この画像の周辺の黒い部分

こういったシチュエーションの場合、暗い部分に発生するノイズが比較的目立っているように感じます。

高感度ベースになると、こういったシチュエーションでも全体の光量が少なくてすみます。

スポットライトの光量を下げるか、適正の露出を得るために絞るかNDフィルターで調整をする必要があります。

その際に、綺麗に絞り込めて上の画像の黒い部分をしっかり絞めることが出来れば良いのですが、少し明るくなってしまった場合(浮いてしまった場合)、ノイズが目立つなという印象です。

……ちゃんと説明できていますかね?

こういう時、私はISO1600で撮影したりしています。

まとめ

なんやかんや言いましたが、結局低感度ベースのISO800と高感度ベースのISO12800のノイズ感は同等であり、実用上全く問題ないと言えるのではないでしょうか。

本当、凄い時代になりましたね。

撮影機材の運搬に最適なのはマグライナー?アウトドアカート?【自作マグライナー】

マグライナーとは

マグライナー(Magliner)はプロのフォトグラファーやビデオグラファーなど、写真や映像に関わる全ての方を対象にしたカートです。

カメラマン周りの撮影部さんが使用しているイメージがありますが、照明部さんも録音部さんも使っていたりして、撮影現場には必ずと言ってもいいほど目にする機材の一つです。

©︎マグライナーはマグライナー社が商標を持つビデオカートの商品名です。

アウトドア用キャリーカートではダメなのか

いくらマグライナーがビデオカートの中では業界標準みたいな顔をしていても、撮影現場で目にしない日はないと言われても、軽自動車やミニバン系で普段の撮影を行なっているビデオグラファーや中小規模の映像制作会社には無縁な存在。

むしろあっても重荷になってしまうだけなのでは?と思う方が多い時代になっているような気がします。

少なくとも私はそう思っていました。キャリーカートを2つ持って行ったり、2段に出来るキャリーカートがあれば良いのでは?みたいな感じで。

マグライナーが必要だ!

とある撮影にて。

「マグライナーをお願いします」

いや、これは盛りました。

「マグライナーじゃなくても良いけど、座ってモニタリングできて、荷物を置ける環境が欲しい」

的なことを言われたことをきっかけに、マグライナーを準備……もとい。

予算の都合上、マグライナーを作ることになりました。

ちなみに、マグライナーを作る際には下記の記事を参考に制作させていただきました。

本当に助かりました!有益な情報をありがとうございました!!

note.com

studiofe.exblog.jp

実際に使ってみて

それまで一度もマグライナーを使ったことがなかった私ですが、マグライナーを使い始めて、ようやくマグライナーの魅力に気づくことが出来ました。

出来ましたが、

やはり冒頭でも触れたように、マグライナーが無縁な存在になってしまう場面も存在することにも気付かされました。

それでは、マグライナーとアウトドアカートの、それぞれのアドバンテージとディスアドバンテージを紐解いていきましょう。

マグライナーvsアウトドアカート!

組立時/収納時

マグライナー:☆

カート   :☆☆☆

組み立てや収納の手間。

収納時のサイズ感や、本体そのものの重量は圧倒的にカートが有利。

最近では対荷重が100kgを超えるカートも出てきており、使い勝手も良くなっています。

対してマグライナーは支柱を差し込んだりタイヤを取り付けたりと、製品にもよりますがある程度組み立てが必要です。

ハイエースやキャラバンのような車であれば、組み立てた状態で車に載せ、移動することが出来ますが、そうでない場合は現場で組み立てとバラシが発生してしまいます。

積載時

マグライナー:☆☆

カート   :☆☆

こちらに関しましては得意としている運べるものが違うという印象です。

マグライナーは上段をモニタリングベースとし、下段をレンズケースやバッテリー、箱馬など。

物によっては三脚のヘッドをマグライナーに取り付け、カメラを固定して運搬することも可能で、現場に到着してすぐに撮影が出来る状態を維持したまま機材の運搬が可能です。

カートの方は、三脚やスタンド類など、高さがある機材の運搬に適しています。

すぐに使う状態を維持しなければ、どんな機材でも載せることが出来ますね。

運搬時

マグライナー:☆☆

カート   :☆☆☆

こちらは、どちらも物による…という具合です。

マグライナーもカートも、タイヤが小さく細ければ悪路を進む事は出来ません。

タイヤが大きく太ければ、海の砂浜であっても突き進むことが出来るでしょう。

しかし、星一つ分の差はどこにあるのか。

それは運搬中に機材が転落する可能性はどちらが低いかという点です。

マグライナーは2段あり、各棚の縁は1cm程度です。

もちろん、転落防止ネットなどを活用すればマグライナーもカートも機材が落ちるようなことにはなりませんが、素の状態ではカゴ型になっているカートに部があると言えます。

撮影時

マグライナー:☆☆☆

カート   :☆

撮影が始まると、カートはただの箱でしかありません。

しかしマグライナー違います。撮影現場では作業台として機能します。

  • モニタリングベース
  • 物を置く、書く
  • 機材のメンテナンス場
  • バッテリーステーション
  • ジンバルのセッティング
  • お昼ご飯を食べるテーブル

など、みんなの机として撮影現場を支えてくれます。

なぜマグライナーを使うのか

ここまでご覧いただければ、なぜマグライナーを使うのかが見えてきたのではないでしょうか?

機材も運べる撮影現場の棚机

マグライナーに限らず、撮影現場では機材を運搬する為の方法や、地面に直接機材を置かなくても良い環境が作れる機材は本当に重要です。

まとめ

マグライナーとキャリーカート。どちらが良いというわけではなく、どちらもあった方が良い機材と言えます。

ただ、お仕事のジャンルや車両の都合により、キャリーカートしか難しいという方もいらっしゃると思います。

拙い情報ではございましたが、ご自身に合わせた機材運搬方法へと昇華・カスタムするなど、みなさまの撮影ライフに少しでも協力できたなら幸いです。

また、悪路には不向きですが、スタジオや補正された道等で撮影する場合は、軽自動車にも乗る簡易的なカートもあり、そちらをまとめた記事も転載しておきます。

demoreel.hatenablog.com

 

HollylandやAccsoonよりも遅延が無いTERADEK ACE 500はオススメか?

はじめましてTERADEK

比較的安い金額でワイヤレスモニタリング…いわゆる「飛ばし」でのモニタリングが出来るようになった昨今の映像、動画製作業界。

YouTuberでもビデオグラファーでも、動画に携わる方々であれば誰しも、他の誰かに今撮影している映像をリアルタイムで見てもらう機会があると思います。

そんな時、HollylandやAccsoonなどをワイヤレスユニットの第一候補として選ぶ方は多いのでは無いでしょうか?

私もその一人です。

しかし、私が映画やドラマの現場に行くようになってから「BOLT」という言葉を耳にするようになり、「TERADEK」というブランドの製品があることを知りました。

「BOLTはどこでも繋がる」

「BOLTは遅延がないからワイヤレスフォローフォーカスと相性が良い」

色々と良いところを教えてもらったりもしましたが、地方で小規模案件が多く、THE 業界ではないところに仕事のフィールドがある私にとってはHollyやAccsoonくらいが丁度良いい……でも使ってみたい!

そんな中、中古で出ているTERADEK ACE500を発見。しかも丁度ドラマ撮影の真っ最中!

ACE500はTERADEKの中でも一番下位モデル。今使っているHollyland Mars400s Proと比較するには丁度良いかもしれない…

そう思った私は購入して本当にTERADEKが使い物になるのかを試すことにしました。

TERADEK ACE500を知る

TERADEKはアメリカのカリフォルニアに本社を置く、世界最高水準の超低遅延HDワイヤレス伝送システムを開発・製造するメーカーです。

日本でも多くの撮影現場で導入されており、「飛ばし=BOLT」と言っても過言ではないほど実績と信頼のあるメーカーです。

TERADEK ACE500は、2019年に発売されたTERADEKのエントリーモデルです。

BOLT製品の設定を変更する際に使用するPC用ソフト「BOLT Manager」を使用して送信機と受信機のペアリングや各種設定を行います。

  • ゼロ遅延
  • 最大伝送距離500ft(約150m)
  • ACE500から送信された映像をのBOLTシリーズの受信機で受信できる
  • HDMIのみ
  • 電源入力:バレルコネクター7〜17VDL
  • 非圧縮FHD 60pで伝送可能
  • 5GHz帯
  • iPadiPhoneなどでモニタリングするアプリは無し。非対応です。

余談ですが、Paralinx ACE300というワイヤレスシステムに非常に酷似しています。調べてみて下さい。

テストと比較

では早速、今回、これまで使用していたHollyland Mars 400s ProとTERADEK ACE500を同じ条件で使用、比較した感想まとめをご覧ください。。

これらを経て、私はこう感じました。

メリット

  • 接続が早い。電源を入れて30秒かからないくらいでモニタリングが可能。
  • 本当にラグが無い。あるのかもしれないけれど無い。
  • 一度接続が切れても勝手に再接続される。再接続の速度も良い感じ。
  • 他のWi-Fiからの影響は受けづらい。

デメリット

  • とにかく物理的な環境に左右される。壁を挟んだり、雨風が吹き荒れていたりする環境には弱い。
  • インドアモード、アウトドアモード、国外モードなどがあるが、PCに繋いで「BOLT Manager」を介して設定を変更する必要がある。
  • しかもUSB Mini-Bが必要。
  • SONYのLバッテリーやCanonのLP-E6バッテリーを直接挿して給電が出来ない。
  • LバッテリーやLPバッテリーを搭載できるようになるバッテリープレートが売っているが、挿すだけでは給電が出来ない。

より性能を発揮するためには

  • 使えるところはできるだけインドアモードを使う
  • 受信機をスタンド等に取り付けて高い位置に持っていく

注意点

ここまでのお話の中にも出てきた「アウトドアモード(屋外モード)」「インドアモード(屋内モード)」について大切なことがございます。

それは、インドアモードのまま屋外で使用すると電波法違反になってしまうということです。

より快適なモニタリングを実現ができるよう、インドアモードでは屋外で使用が規制されているチャンネルを使用することができるようになています。

屋外で使用する際は忘れずにアウトドアモードへの変更を行いましょう。

なぜTERADEK製品なのに「繋がらない」のか

それは、5GHz帯であることと、コーデックにあると私は考えています。

H.264やH.265という動画コーデックがありますが、多くのワイヤレス伝送システムに採用されている規格はH.264が大半です。しかし、H.264はH.265と比べてデータが重く、恵まれていない使用環境では伝送システムの性能を発揮できません。

さらに、5GHz帯は障害物などに弱く、出来るだけ開けた場所で使用する必要があります。

ACE500はH.264やH.265といったコーデックではなく自社のコーデックを使用していると思われますが、それでも「非圧縮」と記載されているので、重いです。

さらに、5GHz帯での伝送なので、少しでも障害物に阻まれてしまう環境では性能を発揮できないのだと推察しました。

ちなみに、VaxisのATOM 500はH.265を5GHzで伝送するみたいです。

ゼロ遅延ではないですが、繋がり具合はATOM 500の方が繋がるのではないかと考えています。

ACE500を使ってみて

モニタリングをしたいディレクターやプロデューサー、クライアントにとっては、ラグのない映像で確認ができる環境はとても良いことです。

特に映画やドラマなどの演技ものの場合は、映像と音声が現場の演技とズレていると結構嫌がられます。

また、アシスタントがワイヤレスのフォローフォーフォーカスを使用する時などもラグが無いACE500が良いです。

ただし、接続が上手くいかない環境では早々に使用を諦め、別のワイヤレスを使用するか、ケーブルを用いて有線接続をおこない、撮影現場がもたつかないように心がけるとストレスが少なく済みます。

ACE 500はオススメですか?

ゼロ遅延が必要でなければ全くオススメはしません。

全く使えない訳でも無いのですが、繋がることを優先するならもっと選択肢があります。

価格を抑えたいならAccsoonのCineView SE/HEなどを使用すれば良いですし、しっかり予算が組めるなら、DJI TransmissionやTERADEK BOLTシリーズを使用すれば良いと思います。

今購入した方が良い製品ではなく、ACE500が発売された時代には丁度良かった製品だったという印象を強く受けました。

ちなみに、私は時々ゼロ遅延が必要になるので、丁度良かったなと思いました。

LUTを使ったグレーディング。調整を上手く行うためのヒント。

LUTを適用した後の調整が上手くいかないあなたへ

LUTを適用後、こんなことで困っていませんか?

  • 白飛びや黒潰れしたデータが戻ってこない
  • 思った色に調整が出来ない(もっていけない)
  • コントラストや彩度が淡い(もしくは強すぎる)

このブログの結論

LUTを適用する前の状態を補正する。

アドビのプレミアで調整するなら、調整レイヤーにLUTを適用し、素材の方で明るさや色味を調整する(もしくはLUTをかける調整レイヤーと、明るさや色味を整える調整レイヤーを分ける)

※画面はダビンチのものですが、プレミアで想定していただけますと幸いです。

ダビンチリゾルブの場合はLUTを適用したノードの前に明るさや色味を調整するノードをもってくる。

もしくはタイムラインノードの方にLUTを適用し、クリップノードの方で明るさや色味を調整する。(タイムラインノードにLUTを入れると楽ですが、個人的にはあまりオススメはしていません。私は個々で都度調整したいので。)

なぜそうなるのか

LUTはフィルターのように上に被せたり、ふりかけのようにかけるものではなく、変換されるものです。

一枚の生肉をステーキ用にするのか、しゃぶしゃぶ用にするのかでは、下ごしらえや調理の方法はだいぶ違うと思います。

LUTはその方向を大まかに決めるものです。

ですのでLUTを適用した後は、もうその料理に準じた方向の料理しか出来なくなってしまいます。

しゃぶしゃぶ用に生肉を加工した後に分厚いステーキとして調理しようと思っても無理ですよね。

なので、LUTを適用する前の状態を調整する他ないのです。

さいごに

ざっくりしたヒントなので、説明に関する語弊はありますし、他にも色々な方法がありますが、1にも2にも経験です。

自分が思っている方向とは真逆の方向に調整してみると意外と上手くいったり、発見があったりするものです。

難しく考えすぎず、色々触って試して見てください!

出張をするカメラマンやビデオグラファーには絶対にやって欲しい、たった一つのこと

はじめに

これまで色々な場所へ出向き撮影をさせて頂きました。

車での移動はもちろんのこと、飛行機でも船でも新幹線でも出張撮影を行なってきましたが、そんな私がこれから出張撮影が増えてくるカメラマンさんやビデオグラファーさんには是非やってほしい事があります。

それは前乗り(前日に撮影地に到着。宿泊すること)です!

その理由とは…

トラブル対策

これだけです。

「え?慣れてるから余裕なんですけど?」

「いやいや。トラブルは仕方がないので。まぁ理解してくれるでしょ。」

「そんなにトラブルって起こります?」

というご意見もあるかもしれませんので、ここで私の身に降りかかったトラブルの一例をお話しさせて頂きます。

これまで私が経験したトラブル

①預けた荷物の中でレンズ・機材が破損していた

カメラケースからレンズを取り出した瞬間、パラパラと音を立ててキラキラとした粉がレンズから落ちて行きました。

私は、恐る恐るレンズのフロントキャップを外し、前玉の方を地面に向けると、今度は大きなガラスのカケラが地面に向かって降り注いでいきました。

そうです。飛行機の貨物室に預けたカメラケースの中でレンズの前玉……ではなくレンズのプロテクター用フィルターが割れていたのです……。

ちなみに、国内線・国際線の両方で1回ずつ起こったトラブルです。

レンズキャップはもちろんのこと、緩衝材も入れておりましたが、レンズフィルターは割れていました。

フィルターで済んでよかったものの、前玉が割れていたらアウトでした。

写真はそのうちの一回起こったトラブルの写真です。

②バッテリーが死んだ

出張先。撮影前夜。最後の機材チェックを行なっていた時のことです。

フィールドモニターにバッテリーを取り付け電源をオンにすると…点かない。

同じバッテリーで動く照明器具にバッテリーを取り付けてみると……光らない。

バッテリーをチャージャーにセットし、バッテリーの充電を試みるも……充電されない。

そう。彼は移動したその日にデッドしたのです。

私はすぐに閉店間際の家電量販店に飛び込み、バッテリーを購入し、事なきを得ました。

こんな風に、突然バッテリーが死んでしまうと、困りますよね。

バッテリーではなくAC駆動やD-Tap-DCで駆動させる方法もありますが、やはり色々なものを経由せずにそのまま使用出来るバッテリーは、現場にせめて2〜3個確保しておきたいもの。

③機材を忘れた

もう論外ですよね!すみません!!

しかしあるんですよコレ!本当に。

空港でバッテリーを検査されるのが面倒すぎて、玄関先にバッテリーだけを入れたケースを用意していたんです。出発の時にガバッと持って行って、そのまま保安検査場にドーンと見せられるように。

そしたらぜーんぶ置いてきちゃった♡みたいなね。。

でも前入りしていたら最悪家電量販店で購入できるじゃないですか。業務機の特殊なバッテリー以外は。

その時、私が忘れていたのはLP-E6バッテリーのみ。わかる人には分かりますが、家電量販店で買えるんです。

でもこの日は当日の朝イチ移動で、撮影場所は家電量販店すらない田舎。しかも朝イチで移動してギリギリ撮影時間に間に合うかな?くらいの時間。

バッテリーは前日機材チェックに使用したバッテリーが本体の中に入っているくらい……

しかし、なんとか乗り切りました。

本当に怖かったです。

トラブルへの対策と対応

①機材を調達できる場所を探しておく

・レンタルが出来るならレンタルでもOK

ただしこの場合は営業時間があったり事前予約が必要だったりもするので、スケジュールと相談しながら上手く活用出来ると良いですね。

ヨドバシカメラは時間外でも購入対応をしてくれる場所もある

もし、出張先の近隣にヨドバシカメラがあったなら、あなたの強い味方になってくれるでしょう。

ヨドバシカメラはネットから購入し、店舗で受け取りを選ぶと、営業時間外でも受け取ることができるサービスがあります。

たとえ夜遅くに機材トラブルや忘れ物があっても、ヨドバシカメラに在庫があって営業時間外の受け取りサービスに対応していれば、明日の撮影は上手く行くでしょう。

・出張先近隣の知り合いに連絡を取る

知り合いのクリエイターやSNSで知り合ったクリエイターさんが、出張先近隣にお住まいであれば、連絡を取ってみるのも一つの手段です。

②撮影場所・集合場所へのルートを確認しておく

移動の手段に限らず、撮影場所へのルートを確認できるのであれば確認しておくに越したことはありません。

特に通行止めや駐車場所が無いなんてざらにありますし、Google Mapを使用しても建物の裏側に案内されてしまうこともあります。

到着時刻がギリギリになってしまいそうな時こそ、そうなってしまった時に焦ってしまうものです。

事前に確認をしておいて、何か起きた時に対応できるようにしておきましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

きっとカメラマンさんやビデオグラファーの方々など、機材を自分で取り扱い、輸送させる必要がある方々にとっては釈迦に説法なことだったとは思いますが、クライアントさんなど特に機材を扱うことが少ない方々にとっては、あまり無い視点だったのではないでしょうか?

「移動」という何の変哲もない当たり前のことが一つ挟まるだけで、このくらいの文章量になってしまうくらいの出来事が起こり得ます。

前日に移動・宿泊するだけで、トラブルを回避できる可能性がグッと高まり、撮影当日にトラブルが起こってしまった時の損害をカバーできるので、私は前乗りをオススメします。

撮影の裏側 -SONY FX6で撮影した映像作品たち- 001

FX6の導入事例(作例)が少ない!

「そんなこと言われなくても知っています!」という人の方が多いとは思いますが、YouTuberさんやSONY公式から公開されているFX6のプロモーション関連の映像以外にFX6で撮影された作例を見る機会がすこしばかり少ないように感じます。

とはいえ、売れ行きは間違いなく良いはずなので、わざわざ「FX6で撮りました!」と銘打たれていないだけだと思います。

映画などではARRIやREDをはじめ、SONY製のシネマカメラではVENICEやFX9をメインカメラとしつつ、サブカメラとしてFX3やα7S Ⅲなどを活用している場合がよく見受けられます。

www.sony.jp

だったら自分で紹介すればいいだろう!

そう。ないなら自分で紹介すればいいのです。

「わざわざ紹介する必要がある?」と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、FX6の購入を検討している方や、今度使ってみたいなーと思っている方。

どんなトーンで撮れるのか気になる方や、何が良くてFX6を使っているんだろうと考えている方々の選択肢が少しでも広がればいいなと思うので、私がFX6を使用して撮影した映像を元にアレコレお話をさせていただこうと思います。

撮影事例

江北町「町制70周年記念動画 くるり×江北町


www.youtube.com

ドキュメンタリーパートとドラマパートの両立

この作品では本当の卒業式をドラマパートのように撮影する必要がありました。

当然実際の卒業式なので「ちょっともう一度ここを撮り直させて下さい」なんてことは出来ません。

加えて、作り込まれたドラマパートとの乖離が生まれない画作りも必要だったため、機動力を活かし、手持ちから三脚への移り変わりや長時間の手持ち撮影、手ぶれ補正などの機能面から考えると、FX6は最適でした。

特に、教室間の移動や天候などは、現場の光の状況に大きく左右される要因となりますが、内臓のバリアブルNDフィルターを活かしフレキシブルに撮影ができるという点もFX6を選ぶに至った点でもあります。

②映画「気まぐれのドッペルゲンガー


www.youtube.com

特殊なテーマに合わせたレンズとナイトシーン

Carl Zeiss Classic Primeのクセが活きるトーンとフルフレーム

個人的に大好きなCarl ZeissのClassic Primeシリーズで撮影を行いました。Compact Primeというシネマレンズが発売されていますが、Classic Primeをシネマ用に公式がリハウジングしたものがCompact Primeです。

f:id:demoreel:20230512214429j:image

開放付近ではフリンジやボケにクセ、周辺減光が見られますが、私はこのレンズのクセと、ピント面の線が細く滲み溶けるような描写が、主人公の心の動きや、この物語に起こるどこか夢のような出来事を表現できると考え採用しました。

このクセを存分に活かすために、フルフレームのカメラが最適だと考えました。

・日没との勝負。時間が無い中でのナイトシーン

24時間で完成までに導くというプロジェクトなので、当然撮影時間は限られています。

特に、マジックアワーからナイトシーンにかけて、どんどん沈んでいく太陽と足りなくなっていく光量を補うためには高いISO感度で対応しなければならない場面はどうしても出てきてしまいます。

FX6はISO 12800という高い感度で撮影できるため普通のカメラでは粘れない環境でも粘って撮影することが出来たので、とても助かりました。

③ほっとシティおおむたチャンネル「向田理髪店ロケ地巡り」


www.youtube.com

ジンバル×AFの精度

撮影の大半をジンバルに乗せて行っていますが、ジンバルに載せるデメリットとしては細かいマニュアルフォーカスがやり辛いことと、あまりにも重いセッティングのままでは長時間の運用が難しいということが挙げられます。

FX6はジンバルに載せられるギリギリのサイズ感ではありますが、内臓のバリアブルNDフィルターがあります。そしてAFの精度の高さは本当に素晴らしく、安心してフォーカスを任せることが出来ました。

この撮影ではZeiss 24-70mm F4を使用し、カットの約9割をAFで撮影を行っています。

さいごに

昨今、機能面においても、画作りにおいても完成度の高いカメラは非常に多くなってきました。

特にミラーレス一眼を用いた映像制作はプロアマ問わず、多くのユーザーに親しまれ、大きなシネマカメラを利用する機械は少なくなっていくのではないかと感じています。

しかし、限られた時間の中で撮りきらなければならない現場や、光の変化や環境に左右される撮影においては、カメラの設定に素早くアクセスができるボタンが潤沢に用意されていたり、内臓NDフィルターが備わっている機材は、言わずもがな便利で撮り逃しや事故も少ないです。

それでいてFX6の場合は小型軽量であるため、「三脚用」「ジンバル用」など複数台のカメラの用意が難しい撮影や、これからカメラを購入する方の最初の一台としての選択肢に最適なカメラだと思います。

SONY Cinema Lineのフラグシップ機VENICEから継承された画作り×柔軟性は、多くの動画制作を手助けしてくれるのではないでしょうか。

撮影の準備中からロケハンや撮影中まで役に立つ!撮影現場で大活躍するスマホアプリ!!

はじめに

例えば、夕陽をバックに男女の別れのシーンを撮影したい時。

例えば、ロケ地が狭すぎて本番で広く撮れるのかを確認したい時。

例えば、写真撮影で必要な背景紙の大きさの目安が分からない時。

例えば、スマホタブレットに画面を合成したい時。

例えば、長時間のコンサートを収録する時に必要なSDカードの容量が知りたい時。

……ありませんか?

今日は動画撮影や写真撮影中に「あったら便利だな」と感じるスマホアプリをご紹介します。

既にご存知の方も、これから動画や写真撮影を行う方も、撮影がスムーズに進むことを願って。

①サンサーベイヤー

オススメ度:★★★★★

【特徴】

・今立っている場所を基準に太陽の動き、月の動きが分かる

・日の出日の入りの時刻や、太陽が出る場所も分かる

・マジックアワーが続く時間も分かる

日の出を狙いたい時。日没を狙いたい時ってありますよね。

マジックアワー(薄暮)で1シーンを撮りたい時、どのくらいの時間撮影が可能なのか分かると、事前準備や撮影中の現場の運び方が変わってきます。

太陽の向きや動きが分かることで撮影現場に何時から何時まで直射が差すのかも分かります。

このアプリは多くの撮影現場で使われており、今や撮影現場においては必須アイテムです。

課金するとARカメラで実際の空間に太陽の軌道を重ねて確認が出来ます。

私は課金しています。

サン·サーベイヤー (Sun Surveyor)

サン·サーベイヤー (Sun Surveyor)

  • Adam Ratana
  • 写真/ビデオ
  • ¥1,600

apps.apple.com

【類似アプリ】

日の出、日の入り

こちらも基本的には同じ機能ではありますが、ロケハンや現場で使うには全体的に機能不足です。

しかしロケハンに行けない場所や行ったことがない場所の日の動きの確認をしたい人にはこちらのアプリをオススメします。

日の出、日の入り

日の出、日の入り

  • Oceano Inc.
  • ユーティリティ
  • 無料

apps.apple.com

②Cadrage

オススメ度:★★★★☆

【特徴】

・ミラーレスからシネマカメラまで、あらゆるカメラの画角をシミュレート出来る

・どの設定で画角を確認したのか記録が残る

・カメラを向けた方向がどの方角かも記録出来る

今までのロケハンにはミラーレス一眼などを持って行って画角の確認などを行なっていました。

もちろん、より正確なトーンや被写界深度の確認まで行いたい場合はミラーレス一眼などをオススメします。

しかし、そこまでの確認が必要でない時や、ロケハン資料としてスグに使いたい場合はこちらのアプリをオススメします。

潤沢に用意されたカメラとレンズの組み合わせをシミュレートし、画角を確認出来る唯一のアプリ。

自分が持っている単焦点レンズのセットやズームレンズ、カメラやアスペクト比をお気に入りとして登録するとこも可能で、複数台持っている方は、カメラを切り替えながら画角を確認できます。

さらに、写真と動画で記録を残すことができて、簡易的な色味調整も可能です。

私はロケハンの大半をこのアプリで行なっていますし、撮影中にアングルを探る際にも使ったりします。

Cadrage Director's Viewfinder

Cadrage Director's Viewfinder

  • Cadrage GmbH
  • 写真/ビデオ
  • ¥3,200

apps.apple.com

【類似アプリ】

LensAgent Pro

こちらも同じような機能があるアプリですが…特に共有やカメラの種類など機能不足な印象を受けました。

LensAgent Pro

LensAgent Pro

  • N.rise
  • 写真/ビデオ
  • 無料

apps.apple.com

③ShotViz

オススメ度:★★☆☆☆

【特徴】

・3D空間に3Dモデルの人物やパトカーを配置し、あらゆるカメラの画角を確認できる

・使い方次第ではカメラワークも確認できる

・普段確認できない超ハイアングルや超ローアングルもシミュレートできる

こちらのアプリを使うような場面は比較的少ないのですが、例えば、グリーンバック撮影を行う際、撮影する対象に対してどのくらいの広さの場所に、どのくらいの大きさのグリーンバックを用意すれば撮影が可能なのかを確認することができます。

人物同士の身長差や、人物の集合カットなどを撮影する時、集団からどのくらい離れれば全体が撮れるかなどの確認が可能です。

また、簡易的にカメラワークを行い確認することが可能で、プレビズ(完成した状態を想像できるシミュレーション映像)のような使い方が可能です。

こちらは特に類似アプリが無く、現状では唯一無二の存在です。

ShotViz

ShotViz

  • Koji Okabe
  • 写真/ビデオ
  • ¥4,800

apps.apple.com

④Tracking Marker

オススメ度:★★★☆☆

【特徴】

iPhoneiPadの画面にグリーンやブルースクリーンを表示できる

・トラックマーカーあり、なしを選べる

・黒や白の画面もある

iPhoneiPadに何かしらの画面を合成したい時ってありますよね?

そういった時、劇用で使う端末の種類に合わせたサイズでグリーンスクリーンを用意するのって結構大変ですよね。

特にスワイプやタップをしてしまうとホーム画面に戻ってしまったり、上下に設定の枠が出てきてしまったりして、意外と使いづらかったり……

Tracking Markerは端末の種類に合わせたグリーンスクリーンを表示することが可能で、タップやスワイプをしても問題ありません。

トラックマーカーやクロマキーの種類もいくつか用意されており、シチュエーションに合わせて柔軟に対応できます。

※現在Apple Storeの方でダウンロードができなくなっています。

play.google.com

【類似アプリ】

EzGreenScreen

こちらも同様のアプリではありますがグリーンスクリーンと灰色の十字トラックマーカーしかありません。

EZ Greenscreen

EZ Greenscreen

  • David Eber
  • 写真/ビデオ
  • 無料

apps.apple.com

VFX Tracking Markers

期待の新人です。

VFX Tracking Markers

VFX Tracking Markers

  • Yaroslav Aleksutkin
  • 写真/ビデオ
  • 無料

apps.apple.com

⑤Light Meter

オススメ度:★☆☆☆☆

【特徴】

・現場の色温度を確認できる

こちらはその場の色温度を確認出来るアプリです。

それ以外の機能もありますが、私はそっちはあまり使っていません。

ただ、厳密にこの確認が必要な場面ではもう少し厳密に測ることができるカラーメーターを使うでしょうし、それ以外の現場では特に使わない気がしています……

現在の状況と今の設定に大きな乖離が存在しないのかなどを確認する程度には丁度良いかなと思います。

画像ではPCスクリーンを写していますが、可能であればグレーカードやホワイトカードなどで確認が望ましいです。

現場だと白い壁とかですかね。

Light Meter - WBPhoto

Light Meter - WBPhoto

  • William Blaschko
  • Photo & Video
  • $6.99

apps.apple.com

⑥AJA DataCalc

オススメ度:★★★☆☆

【特徴】

・撮影時間に対する記録データの容量を、記録フォーマット別に計算・確認が出来る

これは準備中に丁度良いですね。

これといった特定の場面で活躍するアプリではなく、今回のプロジェクトにどの容量のSSDやHDDを購入し保存すれば良いのかや、長時間記録が必要なコンサートや対談動画などでどのくらいの容量のメディアがあれば良いのかを計算することができます。

計算できるフォーマットも基本的なフォーマットは押さえられていて使いやすいです。

AJA DataCalc

AJA DataCalc

  • AJA Video Systems
  • ユーティリティ
  • 無料

apps.apple.com

ウェザーニュース

オススメ度:★★★★★

【特徴】

・数分後〜数時間後の雨雲の動きを分かりやすく確認ができる

・桜や雪の情報もリアルタイムに確認ができる

 

撮影現場で度々起こる天候問題に対応し、乗りこなすことが出来る……は盛りすぎですが、かなり高い精度で今の天候の状態を確認ができます。

ウェザーニュース

ウェザーニュース

  • Weathernews Inc.
  • 天気
  • 無料

apps.apple.com

まとめ

快適な撮影ライフをお送り下さい。

……とはいえ、何だかんだちょっと高いアプリもありましたよね。

個人的には

・サンサーベイヤ(無料版)

ウェザーニュース(無料版)

・Cadrage

だけでもロケハン〜撮影中までが、かなり捗ると思いますので、ぜひお試しいただければと思います。