仮面ライダーや戦隊ヒーローの映像作品を撮影するために 〜第2章 適したカメラのピックアップ〜

前回までのあらすじ
下記記事を読んでから、本記事を読むことをオススメします。
カメラの選定基準
特撮ヒーローの映像作品を作る上で、撮影に適したカメラを選定するにあたり、下記を基準にしてカメラの選定を行いました。
・潤沢な予算がない中で作品を作る
・ミドルレンジ帯のカメラ
・比較的多くの人に知られている/親しまれている
・必要に応じて家電量販店で急遽仕入れることもできる
「え?じゃぁARRIとかはないって事?」とお思いのそこのあなた。
今回は入れておりません。悪しからず。
お金があればこんな記事にそもそも辿りつかずやれるからです。
また、すべてのメーカー・すべての現行品を掘り起こしているわけでもございませんので、この中に記載されていないカメラや、今お持ちのカメラが特撮の撮影に向いているのかが気になる場合は、今回選定したカメラを評価する上で掲げている項目に注目しながら気になるカメラのスペックと照らし合わせてみてくださいね!
これまで特撮を支えたカメラたち
各メーカーのカメラを見ていくその前に。
これまで仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズに使用されてきたカメラが一体どんなカメラなのかを、あらゆる情報を元にチェックしてみましょう!
フィルムからデジタルに移り変わった歴史
スーパー戦隊シリーズは長らくフィルム撮影が続けられ、侍戦隊シンケンジャー以降の作品ではRED DIGITAL CINEMAのカメラをメインに使用しているようです。
今はシネマカメラの開発や生産が終わったPanasonicさんのシネマカメラ「VARICAM」シリーズが多く使われていたみたいですね。

仮面ライダーではSONYのカメラが使用されていたりもするみたいです。
仮面ライダーガッチャードではSONY FX6が使用されていたみたいですね!
スーパー戦隊や仮面ライダーで使用されているカメラがなんとなく見えたところで、特撮に向いているカメラを見ていきましょう。
各メーカーのカメラスペックと比較

チェック項目について
22コマや4K120コマについては前回の記事を読んでいただければわかると思いますが、「ノイズレス / 高感度撮影」については少し補足を。
正直、どのカメラも撮影場所の明るさが十分に確保されているような状況であればノイズが出ることもなければ高感度撮影の必要もありません。
しかし、今回は潤沢な予算がないということがベースです。ということは、照明部さんの人員や照明機材が十分に無いということが想定されます。
そのためある程度のノイズやISO感度を上げて撮影することが必要な場面が出ることを想定し、分かりやすく○や×をつけています。
BlackmagicやREDのカメラが「ノイズレス / 高感度撮影」において×マークになっていますがこちらは記載しているようにポスプロでのノイズリダクション前提なので、×としています。
また、センサーサイズが著しく小さいマイクロフォーサーズも×としています。
調べてみて感じたこと
色々と調べてみて分かったのは、この記事を書いている25年3月中旬ではCanonがどの機種においても撮影に必要なスペックをクリアしているように思えました。
前述したようにポスプロでのノイズリダクションが前提のカメラやマイクロフォーサーズを除いて、昨今のカメラは撮影時の露出を間違えない限りは比較的ノイズは少なく撮影できます。
22コマなど、コマ落としに関しては多くのカメラが対応出来ていない中、BlackmagicやREDなどはしっかり対応出来ています。さすがですね。
予算が潤沢なのであればARRIでもなんでも使えばいいのです。しかし、予算がそこまでない場合は何を取って何を捨てるかを考えなければなりません。
・スペックはクリアしているけど価格は高いカメラ
・価格はリーズナブルだけどスペックが足りていないカメラ
・重量の関係でジンバルに乗らないカメラ
・ポスプロにどこまで時間や労力を分散するか
などなど。
代替案
しかし、逆を言えばどこかの機能を妥協すれば、ほとんどのカメラが候補として上がってくるのです。あなたがすでに持っているカメラも例外ではありません。
では、それぞれの項目をどうリカバリーする方法があるのかを考えてみましょう。
22コマが撮れない時
・編集ソフトで22コマのタイムラインを作り、22コマに変更したい素材をそのタイムラインに入れて22コマで書き出し。
・Adobe Premiereの場合はエフェクトの「ポスタリゼーションタイム」を使えばタイムライン上で任意のフレームレートに変更することが出来るので、22コマに変える。
・編集ソフトで速度を少し早める
・撮影時にシャッタースピードを少し早めに設定しておく
などが代替案として考えられますが、編集で速度を早めるよりはシャッタースピードを少し早くしてキャラクターの動きをパラつかせた方が実際に早く動いているように感じます。特に殺陣のシーンとはではそれを顕著に感じます。
4K120コマ
・そもそも4Kが必要なのかを考える
・120コマではなく60コマでもいけるのではないか
・編集ソフト側でフレーム補完をして擬似スロー
特に最初のそもそも4Kが必要なのかという点は結構重要です。グリーンバックで合成用素材として撮影する時は4K画質であることが望ましいですし、4Kで作品を作るということでなければフルHDでも十分です。
ノイズレス / 高感度撮影
・あまり暗い場所や輝度差がある場所などで撮影しない
・どんな時でも撮影現場の明るさや手持ちの照明を最大限に活用する
・明るく撮れるレンズを使う
・編集時のノイズリダクションで対応
ここに関しては多少仕方がない部分もあるので割り切る必要はあると思います。
筆者はどのカメラを選ぶ?
私はどの撮影にも一旦SONY FX6を使用しますし、使用しない時でも機材を選ぶ一つの軸となるカメラとして存在しています。
予算が許すのであればCanon R5C。難しいようであればPanasonicのGH7やGH6。もしくはBlackmagicのPocket Cinema Camera 6K proなどを選びます。
感度や背景のボケ感を許容するのであればPanasonicのGHシリーズは本当に特撮向きのカメラだと感じます。やはりVARICAMが仮面ライダーに長らく使われてきた理由が分かります。
Blackmagicは4K120コマなどのハイスピード撮影やジンバルワークなどを絡めた一台の取り回しやすさや、ポスプロでの負担を許容するのであれば、こちらのカメラも良いカメラです。
私は実際に撮影現場でBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K proを使用して特撮の撮影をしたことがあります。ただ、やはりハイスピード撮影時のクロップファクターは結構デメリットになる場面はありました。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
次回はレンズや三脚、特機回りについて説明していきます。