- はじめに
- Hollylandにはアンテナがいっぱい
- このブログで少し分かること
- 注意
- アンテナを知る
- 用語解説
- 各アンテナを比較
- アンテナまとめ
- 本体の性能も知っていく
- 本体とアンテナの組み合わせ
- まとめと希望
はじめに
映像制作に携わっている方であれば多くの方がお世話になっているHollyland(偏見)。
ここ2年くらいの間に突如として現れ、これまでハイバジェットの現場にしかなかったワイヤレス映像伝送システムを低バジェットの映像制作現場に届けてくれました。
本当にありがとうございます!
一方で日本国内での電波事情もあるのか、安定したモニタリングが難しい場面も多々あります。
屋内外問わず、Wi-Fiが多く飛んでいる場所や気象レーダー・航空機レーダーが飛んでいるような場所では伝送が切れたり、壁を一枚隔てると映像が途切れてしまう場面も多々見受けられます。
気象レーダー・航空機レーダーは仕方がありませんが、なるべく安定して映像のモニタリングを可能にするためには何が良いのだろうかと悩んだ私は、アンテナを変えてみる事にしたのです。
Hollylandにはアンテナがいっぱい
しかし、Hollylandから出ているアンテナはたくさんあって、どれを選べば良いのか分からない。
新しい機種が出るたび新しいアンテナ出しやがって本当にマジでおいおいおい…
しかも誰もアンテナの違いを書いた記事を残してくれていないので、もう私が調べ上げるしかないじゃない!
と、いうことで!!
このブログで少し分かること
- 各アンテナの特徴や違い
- Hollylandの送受信機について
- 単純な電波の強さ
- 電波の飛び方の違い
などなど
注意
筆者である私は電波や無線の専門家ではありませんので、説明不足な部分や有識者の方々から見た際の至らぬ点など多々あると思いますが、あらかじめご了承下さい。
アンテナを知る
指向性と無指向性
アンテナにもマイクと同じように、指向性と無指向性のアンテナが存在します。
指向性アンテナ
メリット :特定の方向の電波を強くキャッチすることが可能
デメリット :角度が少しでも変わると電波を受信できなくなる(設置も難しい)
使われる場面:テレビのアンテナ・アマチュア無線など
無指向性アンテナ
メリット :水平方向、または垂直方向360度全ての方向からの利得が同等なため、位置や角度が変わっても安定して受信が可能
デメリット :アンテナに対して垂直方向へのカバー範囲は狭く、指向性より他からの妨害を受けやすい。
使われる場面:Wi-Fiなど
図で表すとこんな感じ
無指向性はアンテナの”面”の部分に対して全方向送受信が可能ですが、アンテナの真上や真下は苦手です。
指向性は他の角度から飛んでくる電波には見向きもしませんが、向いている方向から飛んでくる電波に対しては地獄耳です。
電波塔や衛星から飛んでくる電波を受信しなければいけないので仕方がありませんよね。
指向性 :遠くから飛んでくる電波をキャッチする力が強い
無指向性:近くの電波に対しては最強
みたいなイメージを持っておいてもよさそうです。
用語解説
いきなり説明に移る前に、まずはアンテナを説明する際に必要な用語に軽く触れてアンテナのスペックを見ていきましょう。
周波数範囲
アンテナの対応している周波数帯域
Gain(利得)
数値が大きいほど高感度ではあるが、アンテナの揺れや曲がりに影響を受けやすくなる
定在波比
何だか難しいけど、数値が大きいと悪影響が出るらしい
1.5以下が理想。3以上が実用上の限界とのこと
各アンテナを比較
デフォルト(円筒型)
周波数範囲:5.1GHz〜5.8GHz
Gain(利得):2dBi
定在波比 :最大2.5
ロリポップ
周波数範囲:5.0GHz〜5.9GHz
Gain(利得):2.5dBi
定在波比 :最大2.0
トリンプボックス(キャンディボックス)
周波数範囲:5.0GHz〜5.9GHz
Gain(利得):2.5dBi
定在波比 :最大2.0
キノコ
周波数範囲:5.1GHz〜5.8GHz
Gain(利得):5dBi
定在波比 :最大2.0
ラピッド(ブレード)
周波数範囲:4.9GHz〜5.9GHz
Gain(利得):4dBi
定在波比 :最大2.5
バレット&カプセル
Mars 4KとMars M1より参戦。
情報無し(22年9月25日現在)
アンテナまとめ
ほとんど変わらないスペックではあるものの、Gain(利得)が一番高く、全方向に電波を送受信出来るキノコ型アンテナが一番良いのではないでしょうか。
本体の性能も知っていく
これも全然詳しくないので、全体をざっくり見ていきましょう。
対応周波数
Hollylandから発売されているMarsシリーズなどの対応周波数は5.1GHz〜5.9GHzまでがほとんどです。
Transmission Power
トランスミッションパワー(Tx Power)とは、その名の通り送信する力の強さだそうです。
数値が大きい方がよく飛ぶそうです。
本体別TxPowerは以下の通りです。
- Syscom 421S :Max 22dBm
- COSMO C1 :Max 22dBm
- Mars M1 :Max 22dBm
- Mars 4K :Max 21dBm
- Mars400s Pro:Max 21dBm
- Mars 300 Pro :Max 21dBm
この中で送信するパワーが強いのは国外仕様の421SとC1。そして今度発売されるM1ですね。
データレート
数値が高ければ高いほど伝送される映像は綺麗ですが、データが飛びづらくなります。
データレートが低くなると電波が飛びやすくなり、受信感度が上がります。
本体別データレートは以下の通りです。
- Syscom 421S :8Mbps
- COSMO C1 :12Mbps
- Mars M1 :12Mbps
- Mars 4K :8〜20Mbps
- Mars400s Pro :8〜12Mbps
- Mars 300 Pro :6〜8Mbps
Tx Powerが強い421S、C1、M1は固定レートですが、その他は可変レートというのが面白いですね。
やはり4Kの映像を飛ばさないといけないMars 4Kが一番高いデータレートを誇っています。
一方、一番古い機種の300 Proが一番低い6Mbpsでデータを送信できるので、送る側目線で安定しているのはMars 300 Proかもしれませんね。
※Max 21dBm、6Mbpsという組み合わせができるのであれば。
Receiver Sensitivity
レシーバーセンシビリティー(Rx Sensitivity)とは、その名の通り受信感度のことで、数字か小さければ小さいほど受信感度が高い(良い)そうです。
少ない電波でもキャッチすることができるということですね。
本体別Rx Sensitivityrは以下の通りです。
- Syscom 421S :-90dBm
- COSMO C1 :-80dBm
- Mars M1 :-80dBm
- Mars 4K :-90dBm
- Mars400s Pro :-80dBm
- Mars 300 Pro :-80dBm
421Sと4Kのみ-90dBmですが、ここまで見ていくと安定した伝送を求めるのであれば、やはり300 Proが一番良さそうな気がしてきました。
Mars 300 Proは送信機1台に対し受信機2台は無理っぽいので、受信機1台のみで完結する現場では300 Proは活躍しそうです。
本体とアンテナの組み合わせ
送信機側の送信電力やらEIRPやらIRPやらあるらしく、一概に「これがベスト!」とは言い切れませんし、バッテリーの状態や本体の設定によって変わってくるものはあると思いますが、一旦。ここまで出た数字だけで判断していきたいと思います。いかせて下さい。
単発最強
キノコアンテナ×Mars 300 Pro
複数最強
キノコアンテナ×Sysco 421S
※Sysco 421Sは1台の受信機からケーブルで分配する必要があります。
まとめと希望
いかがでしたか?
正直、形だけ違って大差無いだろうと思って書き始めたブログですが、本体まで紐解いていくと結構違いがありビックリしています。
Mars 4Kが日本国内に対応して、送信機1台×受信機2台に対応して、さらにデータレートを8Mbpsに固定できれば、今人気のMars400s Proよりも安定しそうですが、今はとにかくみんなキノコアンテナを取り付けて、ワイヤレスでのモニタリングを乗り切りましょう。