- はじめましてTERADEK
- TERADEK ACE500を知る
- テストと比較
- メリット
- デメリット
- より性能を発揮するためには
- 注意点
- なぜTERADEK製品なのに「繋がらない」のか
- ACE500を使ってみて
- ACE 500はオススメですか?
はじめましてTERADEK
比較的安い金額でワイヤレスモニタリング…いわゆる「飛ばし」でのモニタリングが出来るようになった昨今の映像、動画製作業界。
YouTuberでもビデオグラファーでも、動画に携わる方々であれば誰しも、他の誰かに今撮影している映像をリアルタイムで見てもらう機会があると思います。
そんな時、HollylandやAccsoonなどをワイヤレスユニットの第一候補として選ぶ方は多いのでは無いでしょうか?
私もその一人です。
しかし、私が映画やドラマの現場に行くようになってから「BOLT」という言葉を耳にするようになり、「TERADEK」というブランドの製品があることを知りました。
「BOLTはどこでも繋がる」
「BOLTは遅延がないからワイヤレスフォローフォーカスと相性が良い」
色々と良いところを教えてもらったりもしましたが、地方で小規模案件が多く、THE 業界ではないところに仕事のフィールドがある私にとってはHollyやAccsoonくらいが丁度良いい……でも使ってみたい!
そんな中、中古で出ているTERADEK ACE500を発見。しかも丁度ドラマ撮影の真っ最中!
ACE500はTERADEKの中でも一番下位モデル。今使っているHollyland Mars400s Proと比較するには丁度良いかもしれない…
そう思った私は購入して本当にTERADEKが使い物になるのかを試すことにしました。
TERADEK ACE500を知る
TERADEKはアメリカのカリフォルニアに本社を置く、世界最高水準の超低遅延HDワイヤレス伝送システムを開発・製造するメーカーです。
日本でも多くの撮影現場で導入されており、「飛ばし=BOLT」と言っても過言ではないほど実績と信頼のあるメーカーです。
TERADEK ACE500は、2019年に発売されたTERADEKのエントリーモデルです。
BOLT製品の設定を変更する際に使用するPC用ソフト「BOLT Manager」を使用して送信機と受信機のペアリングや各種設定を行います。
- ゼロ遅延
- 最大伝送距離500ft(約150m)
- ACE500から送信された映像をのBOLTシリーズの受信機で受信できる
- HDMIのみ
- 電源入力:バレルコネクター7〜17VDL
- 非圧縮FHD 60pで伝送可能
- 5GHz帯
- iPadやiPhoneなどでモニタリングするアプリは無し。非対応です。
余談ですが、Paralinx ACE300というワイヤレスシステムに非常に酷似しています。調べてみて下さい。
テストと比較
では早速、今回、これまで使用していたHollyland Mars 400s ProとTERADEK ACE500を同じ条件で使用、比較した感想まとめをご覧ください。。
これらを経て、私はこう感じました。
メリット
- 接続が早い。電源を入れて30秒かからないくらいでモニタリングが可能。
- 本当にラグが無い。あるのかもしれないけれど無い。
- 一度接続が切れても勝手に再接続される。再接続の速度も良い感じ。
- 他のWi-Fiからの影響は受けづらい。
デメリット
- とにかく物理的な環境に左右される。壁を挟んだり、雨風が吹き荒れていたりする環境には弱い。
- インドアモード、アウトドアモード、国外モードなどがあるが、PCに繋いで「BOLT Manager」を介して設定を変更する必要がある。
- しかもUSB Mini-Bが必要。
- SONYのLバッテリーやCanonのLP-E6バッテリーを直接挿して給電が出来ない。
- LバッテリーやLPバッテリーを搭載できるようになるバッテリープレートが売っているが、挿すだけでは給電が出来ない。
より性能を発揮するためには
- 使えるところはできるだけインドアモードを使う
- 受信機をスタンド等に取り付けて高い位置に持っていく
注意点
ここまでのお話の中にも出てきた「アウトドアモード(屋外モード)」「インドアモード(屋内モード)」について大切なことがございます。
それは、インドアモードのまま屋外で使用すると電波法違反になってしまうということです。
より快適なモニタリングを実現ができるよう、インドアモードでは屋外で使用が規制されているチャンネルを使用することができるようになています。
屋外で使用する際は忘れずにアウトドアモードへの変更を行いましょう。
なぜTERADEK製品なのに「繋がらない」のか
それは、5GHz帯であることと、コーデックにあると私は考えています。
H.264やH.265という動画コーデックがありますが、多くのワイヤレス伝送システムに採用されている規格はH.264が大半です。しかし、H.264はH.265と比べてデータが重く、恵まれていない使用環境では伝送システムの性能を発揮できません。
さらに、5GHz帯は障害物などに弱く、出来るだけ開けた場所で使用する必要があります。
ACE500はH.264やH.265といったコーデックではなく自社のコーデックを使用していると思われますが、それでも「非圧縮」と記載されているので、重いです。
さらに、5GHz帯での伝送なので、少しでも障害物に阻まれてしまう環境では性能を発揮できないのだと推察しました。
ちなみに、VaxisのATOM 500はH.265を5GHzで伝送するみたいです。
ゼロ遅延ではないですが、繋がり具合はATOM 500の方が繋がるのではないかと考えています。
ACE500を使ってみて
モニタリングをしたいディレクターやプロデューサー、クライアントにとっては、ラグのない映像で確認ができる環境はとても良いことです。
特に映画やドラマなどの演技ものの場合は、映像と音声が現場の演技とズレていると結構嫌がられます。
また、アシスタントがワイヤレスのフォローフォーフォーカスを使用する時などもラグが無いACE500が良いです。
ただし、接続が上手くいかない環境では早々に使用を諦め、別のワイヤレスを使用するか、ケーブルを用いて有線接続をおこない、撮影現場がもたつかないように心がけるとストレスが少なく済みます。
ACE 500はオススメですか?
ゼロ遅延が必要でなければ全くオススメはしません。
全く使えない訳でも無いのですが、繋がることを優先するならもっと選択肢があります。
価格を抑えたいならAccsoonのCineView SE/HEなどを使用すれば良いですし、しっかり予算が組めるなら、DJI TransmissionやTERADEK BOLTシリーズを使用すれば良いと思います。
今購入した方が良い製品ではなく、ACE500が発売された時代には丁度良かった製品だったという印象を強く受けました。
ちなみに、私は時々ゼロ遅延が必要になるので、丁度良かったなと思いました。