2010年 EOS Kiss X4
私の原点
専門学校に入学後3ヶ月目に訪れた最初の夏休み。
休み中の課題として出されたCM制作に必要な機材が手元になく悩んでいたところ、学校の先生にこんなことを言われました。
「凄い手ぶれ補正が付いたビデオカメラか、一眼レフを買ったらどう?」
内心では(学費高いくせに機材学校から借りれず、さらに自腹まで切らせんのかよ…)と思っていました。
判断基準や決断力に乏しい学生は泣く泣く機材を自腹で購入することに。
もしもここで一眼レフではなくビデオカメラを購入していたら、また別の人生を送っていたことでしょう。
最初に驚いたのは、とても綺麗に映るという事。
それまでハンディカムやガラケーの映像しか見ていなかったので、EOS MOVIEの色味や、ラージセンサーならではのボケ感に圧倒されてしまいました。
(このカメラだけで俺は世界を手に入れられるのでは…)とまでは思っていませんでしたが、結構出来るんじゃね?とか思ってました。
本当にお恥ずかしい限りです。
Carl Zeiss Planar T*50mm F1.4
数年間はキットレンズと撒き餌レンズの50mm F1.8の初期型で満足していました。
学校も無事に卒業し、会社に入社。
色々なフリーランスのカメラマンさんに出会っていく中でこんな声を聞くようになりました。
「Carl Zeissの50mmがヤバイ!」
聞いたことのない会社の名前に心が躍り、カメラのキタムラのネットショップで即購入。
自宅に届いて使ってみると…
(あれ?思っていたより…そこまでない…)
と、思っていたのは一瞬。
溶けるようなボケ、開放特有のソフトな描写と絞った際のシャープな画。そして美しい色。
これがきっかけでCarl Zeissの魅力に取り憑かれました。
最近はフリンジが目立つなーと思い、F2.8くらいまで絞って使用していますが、これからも私にとっての現役レンズであることに間違いはないでしょう。
2013年 EOS 6D
あまりにもKiss X4を酷使しすぎた結果、たった3年でシャッターが切れなくなり、終いには電源が入らなくなってしまいました。
レベルアップのタイミングなのではないだろか…そう考えた私は思い切ってフルサイズ機に挑戦をすることに。
当時フルサイズ一眼レフ最軽量と謳われたこのカメラと共に、私のフリーランス生活の幕は上がりました。
EOS Kiss X4が初恋の相手だとするならば、EOS 6Dは本妻のような存在でした。
Cinestyleを本格導入
カメラのセンサーがフルサイズに変わったので、兼ねてより海外サイトやVimeoで作例が上がっていたTechni-colorのCineStyleを導入してみることに。
最初は「このままでもいい感じに見えちゃう!」とか思っていましたが、次第に「これってニュートラルのピクチャースタイルのコントラストと彩度を下げて調整した方が良い結果が生まれるのでは?」と思い始め、結果自分の中でその方が扱いやすかったので、1年そこらでCineStyleは使わなくなりました。
しかし、これがきっかけで色をいじるという概念が身についたといっても過言ではありません。
THA ALBATROSS - Supernova (Official Music Video)
2014年 BMPCC
後継機の4K版が多くのビデオグラファーの心を掴んで離さないBlackmagic Pocket Cinema Cameraですが、この初代もまた、発売当時はかなり話題となりました。
「え?RAWがSDカードに収録できる?買いでしょ!」
私は遅れてこのカメラを購入しましたが、当時使っていたiMac(2011年版)ではDavinciやRAW映像を扱うスペックに到達していなかったので、全然扱えませんでした。
しかし、その後パソコンのスペックが向上し、RAW映像を扱えるようになってビックリ。
ここまで色の情報が残り、ダイナミックレンジが広い素材がかつてあっただろうか、いや、ないだろう。
この時から、収録フォーマットの大切さを意識するようになりました。
【Travel No.001】福岡県糸島市 白糸の滝 【DEMOREEL -WEBMAGAZINE】
2016年 PXW-FS5
BMPCCを経験したのだから、当然BlackmagicのURSAに手を伸ばすものだとお思いでしょう。
私もそう思っていました。
しかしここでとある機材が気になってしまったのです…
(可変NDが付いている…?SONYのFS5って…?)
BMPCCは確かに良いカメラでしたが、一つ頭を悩ませた点がありました。
それはバッテリー問題。
多くのユーザーがこの問題に直面し、幾つものバッテリーを購入したり、Vマウントバッテリーを外部電源として活用したことでしょう。
その恐怖と面倒臭さが、私をFS5購入への道へと誘ったのです。
そして私は思ったのです…
「なぜ4K撮影時に外部出力 or 付属液晶のどちらかにしか映像を出力出来ないんだ!!」
【sakura run】 - SONY FS5 (slowmotion 240fps) , Carl Zeiss Loxia 2/35
2017年 OSMO PRO
MOVIやRONINなどのジンバルが日本の映像業界にも普及しはじめた頃。
DJIはドローンで大成功。
OSMOという片手で持てる、レンズ付き小型ジンバルを発売。
サブカメラやVlogなど幅広い場面で一般のユーザーが楽しめる機材として一躍人気商品に。
その後発売されたのがこのOSMO PRO!
レンズ交換が可能になりセンサーはマイクロフォーサーズへ。
別のカメラを乗せるRONINなどよりも手軽にセッティング可能なこの機材は、きっとワンマンオペレーションが必要な現場で活躍するはずだ!
そう思い購入しました。
しかし意外とサイズ感が大きいということと、実質DJIからのサポートやアップデートが終了したも同然なので、あとは消化試合といったような感じです。
2018年 DC-GH5
予想だにしない事が起こりました。
FS5が盗難に遭いました。
無事に帰ってくる事は確定したのですが、事情により返還に時間がかかるとのこと。
しかし次々と新しい仕事が迫ってくる…
とりあえず機材を買わないと…
と、いった具合でGH5をポチッ!
選んだ理由は内部収録が優れている事と、XLRアダプターを付けることが可能だということ。
マイクロフォーサーズに抵抗はありましたが、Viltroxという安価なフォーカルレデューサー付きマウントアダプターが味方してくれたので、FS5が帰ってくるまで持ちこたえてくれました。
今ではFS5と肩を並べる最高の機材です!
しかしV-Log Lは逆光(特にハレーション)に弱いですね。
データが残り辛い上にノイズが目立つ印象があります。
ハイライトオーバーなシチュエーションが多い撮影にはSONYのS-Logがやはり強いのだなぁと感じました。
【Travel No.002】富士山へ登ろう!2018 - 初心者・観光客向け スバルライン5合目〜山頂 -【吉田ルート解説】
最後に
きっと「FS5ではなくURSAに行くべきだ」とか「GH5じゃなくα7シリーズでしょ!」という方も多いのではないでしょうか。
しかし、私が機材選びで一番重視していることは、いかに「コンパクト」に収めながら上質な撮影が出来るのかということです。
それはワンマンオペレートな現場が多い私には、自分一人で管理・コントロールができて、かつクライアントにも目を配る余裕が欲しいからです。
FS5は付属の液晶モニターが見え辛いことと、外部出力が弱い部分を除けば、小型・軽量で使いやすく、内蔵の可変NDの恩恵は計り知れません。
GH5はジンバルを使ったのかと思うほどの手振れ補正と、4Kでの4:2:2 10bit収録が可能だというところは、本当に素晴らしいカメラだと思います。
さて、令和の最初に出会う機材は一体どんな機材なんでしょうか…
みなさんは、どんな機材に出会ってきましたか?