FX6の導入事例(作例)が少ない!
「そんなこと言われなくても知っています!」という人の方が多いとは思いますが、YouTuberさんやSONY公式から公開されているFX6のプロモーション関連の映像以外にFX6で撮影された作例を見る機会がすこしばかり少ないように感じます。
とはいえ、売れ行きは間違いなく良いはずなので、わざわざ「FX6で撮りました!」と銘打たれていないだけだと思います。
映画などではARRIやREDをはじめ、SONY製のシネマカメラではVENICEやFX9をメインカメラとしつつ、サブカメラとしてFX3やα7S Ⅲなどを活用している場合がよく見受けられます。
だったら自分で紹介すればいいだろう!
そう。ないなら自分で紹介すればいいのです。
「わざわざ紹介する必要がある?」と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、FX6の購入を検討している方や、今度使ってみたいなーと思っている方。
どんなトーンで撮れるのか気になる方や、何が良くてFX6を使っているんだろうと考えている方々の選択肢が少しでも広がればいいなと思うので、私がFX6を使用して撮影した映像を元にアレコレお話をさせていただこうと思います。
撮影事例
①江北町「町制70周年記念動画 くるり×江北町」
ドキュメンタリーパートとドラマパートの両立
この作品では本当の卒業式をドラマパートのように撮影する必要がありました。
当然実際の卒業式なので「ちょっともう一度ここを撮り直させて下さい」なんてことは出来ません。
加えて、作り込まれたドラマパートとの乖離が生まれない画作りも必要だったため、機動力を活かし、手持ちから三脚への移り変わりや長時間の手持ち撮影、手ぶれ補正などの機能面から考えると、FX6は最適でした。
特に、教室間の移動や天候などは、現場の光の状況に大きく左右される要因となりますが、内臓のバリアブルNDフィルターを活かしフレキシブルに撮影ができるという点もFX6を選ぶに至った点でもあります。
②映画「気まぐれのドッペルゲンガー」
特殊なテーマに合わせたレンズとナイトシーン
・Carl Zeiss Classic Primeのクセが活きるトーンとフルフレーム
個人的に大好きなCarl ZeissのClassic Primeシリーズで撮影を行いました。Compact Primeというシネマレンズが発売されていますが、Classic Primeをシネマ用に公式がリハウジングしたものがCompact Primeです。
開放付近ではフリンジやボケにクセ、周辺減光が見られますが、私はこのレンズのクセと、ピント面の線が細く滲み溶けるような描写が、主人公の心の動きや、この物語に起こるどこか夢のような出来事を表現できると考え採用しました。
このクセを存分に活かすために、フルフレームのカメラが最適だと考えました。
・日没との勝負。時間が無い中でのナイトシーン
24時間で完成までに導くというプロジェクトなので、当然撮影時間は限られています。
特に、マジックアワーからナイトシーンにかけて、どんどん沈んでいく太陽と足りなくなっていく光量を補うためには高いISO感度で対応しなければならない場面はどうしても出てきてしまいます。
FX6はISO 12800という高い感度で撮影できるため普通のカメラでは粘れない環境でも粘って撮影することが出来たので、とても助かりました。
③ほっとシティおおむたチャンネル「向田理髪店ロケ地巡り」
ジンバル×AFの精度
撮影の大半をジンバルに乗せて行っていますが、ジンバルに載せるデメリットとしては細かいマニュアルフォーカスがやり辛いことと、あまりにも重いセッティングのままでは長時間の運用が難しいということが挙げられます。
FX6はジンバルに載せられるギリギリのサイズ感ではありますが、内臓のバリアブルNDフィルターがあります。そしてAFの精度の高さは本当に素晴らしく、安心してフォーカスを任せることが出来ました。
この撮影ではZeiss 24-70mm F4を使用し、カットの約9割をAFで撮影を行っています。
さいごに
昨今、機能面においても、画作りにおいても完成度の高いカメラは非常に多くなってきました。
特にミラーレス一眼を用いた映像制作はプロアマ問わず、多くのユーザーに親しまれ、大きなシネマカメラを利用する機械は少なくなっていくのではないかと感じています。
しかし、限られた時間の中で撮りきらなければならない現場や、光の変化や環境に左右される撮影においては、カメラの設定に素早くアクセスができるボタンが潤沢に用意されていたり、内臓NDフィルターが備わっている機材は、言わずもがな便利で撮り逃しや事故も少ないです。
それでいてFX6の場合は小型軽量であるため、「三脚用」「ジンバル用」など複数台のカメラの用意が難しい撮影や、これからカメラを購入する方の最初の一台としての選択肢に最適なカメラだと思います。
SONY Cinema Lineのフラグシップ機VENICEから継承された画作り×柔軟性は、多くの動画制作を手助けしてくれるのではないでしょうか。