DEMOREEL

カメラマンがお話しする映像・写真・カメラのこと。訪れた場所のこと。生活のこと。

SIGMAの18-35mmと50-100mmのレンズを1~2年使用してみて、みんなにもっとオススメしたい!!

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はじめに

初めて手にとったSIGMA製品は「85mm F1.4 EX DG HSM」でした。

当時は「シャープに映る」といった印象が強かったSIGMA製品はTAMURONと並んで「安く手に入るサードパーティー製レンズ」というイメージでした。

そのため、結局この後18-35mm F1.8の登場までSIGMA製のレンズを購入することはありませんでした。

そんな私とSIGMAの映像制作における再開の物語です(違います)。

SIGMAって?

名前から受ける印象で「海外の企業なのかな?」と思っている方も多いと思いますが、実は神奈川県に本社を構える日本の企業です。

レンズやカメラの製造は福島県の工場で行われており、正真正銘の Made in Japan / Made in AIZU なのです。

似たように勘違いされている(勘違いされていそう)企業にハンディーレコーダーで有名・人気なZOOMさんも日本の企業です。

どちらも今、ビデオグラファーや若い映像クリエイターに人気の企業ですね!


"Made in Aizu" 2018|SIGMA

プロダクト・ライン

私が初めて手に取ったレンズの「85mm F1.4 EX DG HSM」は2010年に発売されたもので、この当時はまだAPS-C用とフルサイズ用のセンサーサイズに合わせた製品があるといった感じでした。

しかし2012年。新コンセプトに基づきArtSportsContemporaryという新しいプロダクトラインが誕生しました。

Art

光学性能重視し、最高の写りを実現

Sports

光学性能を重視しつつも、超望遠などに対応。過酷な撮影環境での使用にも耐える仕様

Contemporary

性能・大きさや重さ・価格など全てのバランス取った仕様

このブログでオススメする18-35mm50-100mmは最高の映りを実現するArtレンズです。

私がこのレンズを購入したきっかけ

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ワンランク上の映像制作を行いたいと考えていた私は、当時使用していたフルサイズ機のCanon EOS 6Dから、Super35mmAPS-C)シネマカメラのSONY PXW-FS5へと乗り換えました。

その際、APS-C用のレンズを探していたところ、どうも海外のインディーズムービーの現場ではSIGMA18-35mm50-100mmのレンズが人気らしいという情報を入手。

調べてみるととんでもないスペックでありながら、かなりリーズナブルな金額で販売されていることを知り購入を決意しました。

今「APS-C用かよ」と思った方も多いのではないかと思います。

いつかフルサイズ用を出してくれると思いますので、とりあえず待ちましょう。

このレンズをオススメしたい理由

「このレンズについては知っています」という方はここら辺でご退出いただいた方が良いです。

多分時間の無駄になってしまいます。

知らない方は、少しでも有益になればいいなと思いながら書き連ねているので、一読していただけるととても嬉しいです。

とはいえ人の話は話半分で聞いていた方がちょうど良いので、途中で飽きたらコメント欄に「途中で飽きたのでコーヒー飲んできます」と書いて行ってください。

ズームレンズなのにF1.8通し

「スペック見れば分かります」とおっしゃるあなたは賢いので、ここの項目は飛ばしましょう。

ズームが可能なレンズでF1.8という明るさで撮影が出来るレンズはこのレンズくらいしかこの世に存在しません。

もちろん、18-35mm50-100mmどちらのレンズもF1.8です。

さらに、ただ明るいだけではないのがこのレンズの魅力。

レンズは基本、解放で使用すると結像が甘くなり、シャープネスが保たれ辛く、少し絞って使用することが多いのですが、このレンズは解放からでもしっかり結像するので驚きを隠せません。

今まで解放を嫌煙していたシチュエーションでもバンバン使っていきたくなるレンズです。

この項目で説明出来ることはこのくらいしかありませんが、この後のオススメしたい理由たちの前提になるので覚えていて下さいね!


SPARK -BMPCC4K / SIGMA 18-35mm Art F1.8 -

クセがない

この2本のレンズを使った最初の印象は、レンズ自体にクセがないということです。

まるで綺麗なガラスを通して見たような印象を受けます。

レンズが持つ特有のクセを楽しみたい人にはあまり向かないかもしれませんが、ドキュメンタリーやオープンロケの多い現場では、その場の空気感を切り取ることが出来ます。

グレーディング時にも色やコントラストなどのクセが少ないので、作り上げたい色に作り上げやすいレンズです。

50-100mmで切り取られた画からは、その場の温度や湿度まで感じてしまいそうなくらいです。

現場でのレンズワークが楽に

2回目ですが、このレンズはSuper35mm / APS-C用のレンズです。

なので表記されている焦点距離35mm換算してあげないといけません。

18-35mm35mm換算で約29-56mm相当。

50-100mm35mm換算で約80-160mm相当。

この2本で【28mm35mm50mm】と【85mm100mm135mm】という6本のF1.8 単焦点レンズを揃えられてしまうのです。

6本の単焦点レンズを毎回取り替える必要がないので、レンズ交換とレンズ管理の手間が省けるので、人数が少ない現場になればなるほど撮影の進行に貢献します。

低予算向けのレンズなの?

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ここまでのお話だけを聞くと「安価な現場で活躍できる丁度良い便利なレンズ」という印象を持たれてしまいそうなのですが大きな間違いです。

特にそう思われがちなのは「明るく撮れる」=「照明を使わなくても良い」=「予算がない」という認識をしている方が多いからではないかと思っています。

"照明"は明るくするための道具かもしれませんが、"照明部"さんの仕事は明るくすることではなく、明るくするための照明機材を巧みに操り、映像における光の演出をすることが仕事です。

明るくすることと、光で演出することは全く違うので、明るく撮れるからといって「照明部が必要ない」=「予算を削減しても良い」と言うことには繋がりません。

もう一つは、開放F値でしか撮影しない人が多いことが起因しているとは思います。

とはいえ、確かに安価で便利なことは間違いないのですが、なぜ海外のインディーズシーンで流行り、日本でも大人気のレンズとなったのか。

それはやはりSIGMAが誇る最高ランクの光学性能がもたらす画が人を惹きつけているからなのです。

その結果、このレンズはスチルレンズの光学性能は100%そのままに、映画業界に合わせたシネレンズとしてフルリニューアルされました。

シネレンズ版

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光学系はスチル版と同じものなので映りはどちらも同じですが、フォーカス・ズーム・アイリスの3つのリングに0.8Mギアが搭載されるなど、映画やドラマなどの業界で使用されている機材にマッチするように設計されています。

そのため、レンズを受け入れる側が新たにシステムを一新する必要がなく、スムーズに現場へ溶け込み、多くの現場で活躍しています。

私も実際に使用されている現場を見たことがありますし、触らせていただいたことがあります。

フォーカスリングの回転角度が広くなり、マニュアルフォーカスはやりやすくなっていましたし、アイリスは無段階で調節が可能なので、微妙な調節が出来る使いやすさを感じました。

というのはみんなが口を揃えて言う良い面です。私もそう思います。

このブログを読んでいる人も興味はあるでしょう。

ただ、かなり重たいので、ミラーレス一眼などを使用し、手持ちで撮影をする現場が多い方には不向きです。

多分マウントがもげます。


短編映画 “blur”|SIGMA (日本語字幕)

レンズマウントについて

スチル版はシグマ・ソニーAニコンペンタックス・キャノンに対応。

シネマ版はEF(キャノン)、PLEソニー)に対応しています。

さらに、使用するカメラが変わったとしても、レンズマウントの交換に対応しているので買い換える必要がありません。

このレンズをオススメしたい人

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・今から映像制作の仕事を始め、ゼロから機材を揃える必要がある

ワンマンオペレートの現場が多い方

自主制作映画を撮りたい方(どうしても照明に予算を割けない)

・カメラはレンタルだけどレンズは持っていたいと考えている方

最後に

そうは言ってもお気に入りのレンズはたくさんあります。

個人的にはレンズフレアが魅力的なCookeは憧れのレンズです。

初めてレンズによって画の表情が変わることに気付かされたZeiss

日本の美を集約したようなFUJIFILMFUJINONレンズなど、魅力的なレンズは時が経つに連れて増えていきます。

しかし、多くを手元に残せないのであれば、私はSIGMA18-35mm50-100mmレンズを手元に残します。

それはどれほど魅力的なレンズが出てきたとしても手放せない魅力が、このレンズにはあるからです。

同社からこれ以上明るいズームが出て、映りも同等もしくはより良くなっていた場合を除いては。